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カトキチ 壱式 ver.1 BB500

本体写真

▼約5.5cm
▼左からNano-Mate、壱式、Arc-LS、E1e、
ROF-1、SF-101

▼前面。NX-05加工
▼後ろから。収納可キーリング付き
▼CR2*1込みで31g

▼バッテリーはCR2*1
▼点灯した後消灯すると
 畜光された光が薄緑色に輝く

▼ver.1はBadboy仕様
▼パッケージング


照射比較その1 [室内約1.2m、ISO200、F2.8、シャッタースピード1/50固定]
※写真をクリックすると拡大します
※全て左側が壱式です
※かなり暗めに撮影されています

▼vs Arc-LS1 Hybrid 500mA
▼vs SF-101(新LD)
▼vs ROF-1(ノーマル)

照射比較その2 [雪壁手前まで約10m、ISO200、F2.8、シャッタースピード1/1.6固定]
※写真をクリックすると拡大します
※撮影時気温−15℃だったため、照射に影響を与えている可能性があります

▼壱式 vs Arc-LS1
▼壱式 vs SF-101(新LD)
▼ROF-1(ノーマル) vs 壱式

▼壱式 vs E1e



照射比較その3 [屋外20m、ISO200、F2.8、シャッタースピード1/1.6固定] (照射比較のものです)
※写真をクリックすると20mの照射比較ページを別窓に開きます

▼壱式
▼Arc-LS1 Hybrid 500mA
▼SF-101(新LD)

▼ROF-1(ノーマル)
▼E1e


ランタイムテスト ※グラフをクリックすると詳細ページを別窓に開きます


※温度測定は放射温度計を使用しましたが、今回放射率の関係でかなり曖昧な結果です。


照射写真 ※写真をクリックすると該当距離の照射比較ページを別窓に開きます

▼室内1m

▼屋外5m

▼屋外10m


▼屋外20m

▼屋外40m

▼屋外60m


カトキチさんmodです。 自分のものはver.1です。ちなみに名称的には「壱式」だそうで。もし小型懐中と付いてるところがあっても 気にしないでスルーしてください^^;

CR2を使用したコンパクトかつ明るいライトというコンセプトで開発をされ、氏のご厚意から 約40本(正確な数字はわかりません)が一般配布され、そこでなんとか手に入れることができたものです。 元々凄いものだということは受付前からマニアの間で予測されており、ほとんど抜き打ちのような受付開始だったにも関らず あっという間に受付が終了しました。その好評を受けて製作が決定された第2段(ver.2=仕様変更があり、FraenLP+MM-WO+低Vfの1W-HD QWAHという仕様でした)も、 完成版とキット版合わせて総数100本がわずか数分(もっと短い?)で終了という凄まじいことになりました。 結果として国内のけっこうな数のマニアが持ってるライトとなった感があります^^;

それだけ人気を呼んだのもこのライトのボディにはカトキチさんのこだわりや情熱といったものが凝縮されているからだと思います。 A6061アルミ合金CNC削り出しによるフルスクラッチ、表面仕上げは梨地処理した上に無電解ニッケル+クロムメッキという 仕様で、質感・使い勝手・デザイン全てにおいて素晴らしい出来映えでして、ボディ製作に一部業者の手が入ってるにしろ 実際に手に取ってみるととても個人の作品だとは思えません。ボディデザインも秀逸で、ヘッド周りのナーリング(滑り止めの ギザギザ)は指によくかかり、そのためヘッドの回転によるON-OFFも非常にやりやすく、テール部分に作られたスカート(盛り上がり)は 手に持った際に指の腹をかけることで、このサイズなのにしっかり持てるというよく考えられた構造になっています。 この外装に関してですが、自分は届いてから毎日キーホルダーに付けて持ち歩いているにもかかわらず傷一つ付いていません。 かなり丈夫のようです。さて、もちろん忘れてはならないのがCR2を使うことによって実現されたそのコンパクトさで Nano-Mateとほぼ同じ全長となり、 しかも電池込みでも非常に軽い! 実際の使用にも「どこでも携行できる」「すぐに点灯できる」「小さいのに扱いやすい」と3拍子揃っており、 とにかくボディに関しては非常に満足できるものでした。 なお、ヘッドを回して点灯するタイプのライトの場合のヘッドを回した「感触」は取り付けられているOリングに 左右されますが、カトキチさんの狙った「感触」が市販品にあるサイズでは実現できなかったということで、Oリングも わざわざサイズ指定で専用のものが作られております。細部にまで職人的こだわりを感じます。

そして電池にCR2を使うことによりコンパクトだからといっても明るさに妥協することもなくなりました。 Luxeon-3W bin#TV1L + BB500(ver.1はBB300・400・500からユーザーが選択できました)から生み出される その明るさは自分の中では「コンパクトで明るい」の代名詞であったArc-LSとほとんど変わらないかまたは超えており、 実用となるライトの中での対大きさ−明るさ比では現在最強かもしれません。 ダウンサイジングという言葉があります。機能を維持しつつ大きさを小さくすることですが、 このmodはそれをまさに具現化しており、ある種の理想の実現となってくれてます。 なお色合いがV1(色温度5000K)ということでもっと黄色いものだと思ってたのですが、自分のものは割と 白っぽく当たりでした^^ けっこう色合いにはバラツキがあったようで、氏がグリーンモンスターと形容するくらい 緑色っぽいのも含まれていたようです(事前に引き受け手を募集していたことから考えるに、結構凄いものだったと 予想します^^; 引き受け手の"勇者"様に感謝)。相変わらずbinコードの色合いは当てにはなりませんね・・・

さて、このようにコンパクトでかなり明るいものとなっているのですが、それと引き替えに失ったものもあります。 それはランタイムと長時間連続照射時の安定性です。CR2は公称容量750mAhと言われておりCR123Aの約半分しかありません。 そのため、BB500仕様の場合には初期に近い明るさを保っていられるのは約30分前後といったところのようです。 またBB500によるLuxeonの稼働はかなり発熱を伴うのですが、その発熱をこの小さな筐体では受け止めきれないようで、 自分がランタイムテストを行う限りではどうしても発熱によるシャットダウンを避けることができませんでした (消灯してしばらく冷ませば照度は復活します。従って自分のランタイムテストはテスト的には失敗してます)。 予想はしていたことなのですが、設計上これが放熱の限界だそうなのでBB500仕様はまさにマニア仕様です^^;  BB300や400ならばもう少し安定した挙動になりランタイムも延び、実用性もさらに上がると思います。 なおCR2は確かに店頭で買うには高価なのですが、オークションやネット通販で店を選べば1本あたり200円程度で 済みます。自分にとって壱式はアクセサリ要素も高い実用キーホルダーライトの位置付けであり、キーホルダーライト ならばガンガン使うようなことはあまり無いのでこのランタイムでもそれほど問題は無く、むしろ非常時にも対応できる 明るさと常に携行できるコンパクトさ、そして長い間使わなくとも自然放電の少ないリチウムの特性からキーホルダー ライトへのCR2の採用は大いに賛同します。電池のサイズだけを考えた場合、それを超える容量を持ちつつ さらに小さいコイン型リチウム電池もあることはあるのですが、流してよい電流値が非常に小さいためLuxeon には恐らく使えません。この辺はあまり詳しくないのですが、Luxeonを駆動させるような大きな電流を流せる リチウム一次電池としてはCR2が最小サイズのようです。もっとも電池にかかる負荷がCR123Aよりも大きいため 電池自体にもけっこうな発熱があると思います。Luxeon・DCコン・電池という発熱源たちと闘わなければならないので 壱式も大変です^^;

以上のように壱式は今までにない非常に優秀なライトでした。残念ながらその工程から考えるに恐らくもう製作されることは 無いとは思いますが、個人的に一番驚いたのはこの性能が1万円ちょっとで一般大量配布されたことだったりします。 業者への外注もけっこうあり、原価はもとより大量発注パーツの不良品混入や再メッキなど様々なことを考えれば 足が出ていてもおかしくはなく、その作業量から考えればとんでもなく安価な価格付けだと思うのですが、 この価格付けこそがカトキチさんの想いを一番よく表していると思います。 modは市販のライトを越える性能を持つものが多く非常に魅力的な反面、手に入れるためには 多大な障壁(言語の壁や手段、場合によっては価格等)が存在します。マニアにはそれほど苦にならない(というか ならなくなった)ことでも ライトに興味を持ち始めたばかりの人にとっては超えられない壁となり諦めてしまう人も多いようです (それを乗り越えて欲しいんですが・・・)。そこでこのような状況を鑑みて、もっとmodの楽しさを広く知ってもらおうと 製作されたものが壱式でした。まさにこれはカトキチさんからの"プレゼント"です。 もちろん一般大量配布するような有名なmodderたちのほとんどがこの傾向にあり、mod配布に関して基本的に儲けを考えて おらず、自分たちはそれにあやかっているような状況です^^; そのようなmodderの方々には本当に頭が下がる思いです。 カトキチさんはじめそういったmodderたちの作品を手にされた方は一生の宝物として大事にして欲しいですね。

(04-01-30)





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