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Applied Innovative Technologies, Inc. NightStar(旧)

本体写真

▼25.3cm
▼NightStar,MAG2D,BlasterVI
▼317g

▼前面
▼真正面
▼ヘッド内部

▼コイルと浮遊磁石(内部で浮いてます)
▼ストラップ等取付可能
▼ロゴ

サバイバル機能

▼スイッチ
▼畜光式により暗闇で光る
▼防水で水に浮き、水没しない

▼強力磁石による簡易コンパス機能
▼吊せばヘッドが北を示す


30秒チャージによる点灯 [室内約1.2m、ISO200、F2.7、シャッタースピード1/4固定]
※左:Arc-AAA LE 右:NightStar
※NightStarは30秒間振ってから点灯開始してます。10分後以降も弱いながらも点灯してました。


▼共鳴状態による最適なチャージ方法


点灯直後
1分後
2分後

3分後
4分後
5分後

6分後
7分後
8分後

9分後



照射比較その1 [室内約1.5m、F2.7、シャッタースピード1/4固定]
※写真をクリックすると拡大します

▼NightStar
▼Arc-AAA LE


照射比較その2 [屋外約5m?(目測)、F2.7、シャッタースピード1s固定]
※写真をクリックすると拡大します

▼NightStar
▼Arc-AAA LE


照射写真 ※写真をクリックすると該当距離の照射比較ページを別窓に開きます

▼室内1m

▼屋外5m

▼屋外10m


カネデンさんからのご提供です。

NightStarは珍しい電池の要らないライトです。バッテリーは人力で、本体を振ると内部にある強力磁石がコイルを通り、そこで発電した電気が 蓄電池に蓄えられ、1LEDを駆動させます。

今までもこの人力という方式のノーバッテリーライトはそれなりに存在しましたが、今までのそういった類のライトと大きく違うのは 「蓄電可能」という点と「LED」という点です。昔、自分もノーバッテリーライトを持っていました。ハンドグリップ(握力増強のアレです) のようなものをにぎにぎして、その間だけニップル球かなんかを光らせるものでした。確かにノーバッテリーなんですが、点灯させ続けるには 多大な体力を使う必要があり、それなのに非常に暗く、おまけに球自体が切れる可能性があり、とても緊急用に使えるようには思えない代物でした。

しかしNightStarはそういったものとは異なり、30秒間振ればチャージされて20分間点灯できるそうです。昔のにぎにぎライトでは20分点灯させるのに 20分にぎにぎしてなきゃいけなかったのでこれは素晴らしいです。検証してみましたが、確かに20分以上点灯はしました。もっともどのくらいの明るさ なのかは写真のとおりですが^^; ただしLEDなので球切れの心配はありません。これはこのライトの性格から見たら大きな利点です。 また、30秒間振るという作業も思ったほどは苦にはなりません。これには振り方にコツがあり、肘を支点にして5cm幅で30秒間に90回のペースで振ると 共鳴状態という状態になり、最も効率的に蓄電できるようなのでそれを使います。けっこうゆっくりなペースです。がむしゃらに振ってはダメなようですね。

明るさを見てみると、微妙なカーブを描いたレンズ+リフレクタ集光という変わった方式からやや広めの集光された光を放ちます。 もっとも写真の通りに明るさ的には必要最低限のものであり、他の明るいライトに慣れてしまった目にはとりたてて目の見張るようなところはありません。

しかし本体の方を見てみると、メーカースペック上は耐水約130mの完全防水、そしてポリカーボネイトによる強い耐衝撃性、さらには塩水・アルコール・メタノール・ 漂白剤・アンモニア・酢酸・ガソリン・モーターオイル等に長い時間漬けても問題無し。水にも浮くため川や海で水没させることもなく、強力磁石内蔵のため、 ひもやワイヤーで吊れば簡易コンパスにもなります(故に取り扱いには注意を。強烈な磁場を作ると思いますので、TVやコンポ、FD等の磁気式記録メディア には近づけないようにする必要があります)。

いったい何が言いたいのかというと、このライトは完全サバイバル用ライトだということです。故に物質豊かな日常状態ではその明るさからもあまり有効性が 見出せません^^;

ではどんなシーンに有効なのか。

まず誰もが思い浮かぶのは災害時です。現にホームセンター等ではNightStarもどきが災害対策用品コーナーで売られています。 蛇足ですが、ホームセンター等で売られているものはNightStar"1"相当のもの(このレビューのものは実際は改良されたNightStar"2") と思われ、集光方法が異なり照射面積がこのライトの約半分とかなり小さいです(ホームセンターの店頭サンプルで確認しました)。 このライトでも狭いと思える照射面積に輪をかけて狭いので、手元用の明かりにするにはかなり厳しそうです。
さて、確かにノーバッテリーなので災害時には有効でしょう。しかし仮に大地震が起きた場合を想定してみても「いやいや、バッテリーの供給が 完全ストップになるなんてあり得ない」 「起きてもすぐに復旧するよ」と考える人にとっては全くこのライトの有効性は無いでしょう。自分もはじめはそういう考え方でした。 しかし、このライトを「保険」と考えると全く違う目で見ることができます。災害時に仮にバッテリーを使うライトが全て使用不可になっても このライトであれば夜でも行動できますし、万が一世界規模の大災害が起きたとしても同様です。しかも人力でバッテリーがチャージされるため、 太陽光充電方式のノーバッテリーライトとは違い、闇の中でバッテリーが切れてもすぐに再チャージ可能です。このライトを実際に使う時が無かったとしても、 持っているということが非常に心強い「保険」になります。

また「保険」という観点からすれば、日常シーンでも趣味的な方面では有効性を発揮すると思います。
それはケービングと登山です。ケービングにおいてはまさに光は命綱。メインとサブは必須、場合によってはサブのサブも持っていきますが、 このライトを「保険」にしてみてはどうかと。登山でも同様、万が一の遭難に備えての「保険」になり得ます。もっとも本体が大きいので 荷物パッキングとのトレードオフの関係になりますが…。なお、写真では10分後にはもはや消え入りそうな 明るさになってますが、目が十分暗所に慣れた状態であればそれなりに使える明るさです。

「保険」と考えればいざという時にはより性能の高いライトの方がいいわけで、そういった考え方からすれば、本体は大きいですが非常にいいライト だと言えます。しかし、そうは考えずに他のライトと同列に置いて明るさの性能に注目し、日常シーンでの使い勝手だけを考えるのならば、大きいだけの 使えないライトと言えてしまいます。いざという時には非常に心強いが、普段はそれほど活躍しないという日常状態では評価の難しいライトでした^^;  これは手にする人によって満足感の得られ方が大きく違うと思います。

(03-08-04)



Applied Innovative Technologies, Inc. NightStar(新)/NightStar CS

本体写真

▼旧型と形状は全く一緒
▼小型タイプのNightStar CS
▼CSのスイッチはロータリー式

▼左:CS 右:新NightStar
▼上:CS 下:新NightStar
▼コイル・磁石共にCSのものは小さい

▼1500円程度の類似品との比較。左:NightStar、右:類似品

▼リフ+集光レンズ
▼集光レンズのみ


▼ベゼル。しっかりしてます
▼接着はされているが…


▼リードスイッチで防水性確保
▼機構は同じ


▼磁石は浮き、上下端に接触しない
▼磁石は浮かず、上下端に接触
▼(類似品)接触箇所にはゴムで衝撃吸収

▼発生した電力を溜めるキャパシタ
▼容量はNightStarの半分以下?
▼CSのキャパシタはNightStarとほぼ同等

▼コイル付近処理
▼弛みと内部汚れ


▼内部配線処理
▼ぐちゃぐちゃしてます


比較写真その1 [室内約1.5m、ISO200、F2.8、シャッタースピード1/4s固定]
※写真をクリックすると拡大します

▼新NightStar vs NightStarCS
▼新NightStar vs 旧NightStar
▼新NightStar vs LED LENSER mini

照射比較その2 [屋外10m、ISO200、F2.8、シャッタースピード1/1.6固定] (照射比較のものです)
※写真をクリックすると10mの照射比較ページを別窓に開きます

▼旧NightStar
▼新NightStar
▼LED LENSER mini

照射写真 ※写真をクリックすると該当距離の照射比較ページを別窓に開きます

NightStar(新)

▼室内1m

▼屋外5m

▼屋外10m


NightStar CS

▼室内1m

▼屋外5m

▼屋外10m


新NightStarとNightStarCSは大作商事株式会社さんからご提供いただきました。ありがとうございます。

NightStarが新型LEDを搭載して新型になってました。bonさんの掲示板で話題に上がっていた「100mA-LED、26000mcd-LED」等 のような、従来の5mm砲弾型LEDの進化版のようなものだと思いますがLEDの詳細は不明です。点灯してみるとこれが確かに明るい。 旧型と比べるとかなりの差を感じ、旧型の時に感じた「結局電池式には敵わないのね」という思いはだいぶ払拭されました。

明るさは写真のような感じで、同じようなスポット光を出すLED LENSER mini にはなんとなく勝ってる印象で、 特に屋外照射で差が出ている感じでした。10m先でも割と照らしてます。 なお光色はかなり黄色がかった色で、これはノーマルNightStarもCSも同じなので同様のLEDが使われているのでしょう。 従来の日亜系白色LEDとはかなり趣の異なる色合いですが、青色に近い色は光が弱々しくなっていく につれて段々と暗さに輪を掛けていく印象なので、こっちの方がこのライトには合ってるかもしれません。

明るさはアップしました、では電池の持ちはどうなんだ、といえば持ちは従来のものと変わらない印象です。 明るさだけアップしてその他据え置きとは良いLEDですねえ。なお実際は、全くの無充電状態から30秒間振っただけでは 20分間物を照らし続けるのは厳しいので、2〜3分振ってから少しずつ継ぎ足すような感じで使うのが現実的な使い方になると思います。 また、買ってから初めて使う時や何ヶ月も使用しなかった時など、充電しない時が長期間に渡る場合には 「とりあえず光らせる」までに何分か振る必要があるようです。1回でも光れば後は普通に充電できるんですが、 これを知らないと少し焦るかも。

大きさの異なるCSというものもあり、大きいことが欠点のノーマルNightStarを超える存在のような 気がしますが、大きささえ我慢できるのならば正直ノーマルNightStarをお薦めします。 CSはコイルが小さいためか充電に時間がかかりすぎ、明るさもノーマルほどには及びませんでした。 公称ではノーマルが30秒充電で20分点灯、CSが120秒充電で20分点灯です。ノーマルは大きいだけあって コイル部分の大きさや磁石の移動量等、このライトで重要な「発電システム」に大きな影響を与えている んでしょうね。ノーマルだとゆったりと振ってピカ、CSだとシャカシャカがむしゃらに振ってピカ、 な感じです。やってみると思い知らされますがこの充電時間の差はかなり大きいです。

さて、このライトには類似品が多く存在しますが、ついでなので比較してみました。 NightStarは値段高いし、構造が同じならば類似品の方がお得なんじゃないの?てな感じで。 比較品は1000円程度のもので、構造自体は同じです。

両者とも防水性を高めた密閉構造でスイッチも磁石でオンオフするリードスイッチを採用、 磁石をコイル内で上下運動させることで電力を発生、発生した電力は劣化のほとんど無い キャパシタに充電。そこに球切れの無いLEDが付く、と構造自体は同じです。 ただ、構造が同じというだけで写真のとおり内容は全くの別物。しょせん安物は安物でしかありませんでした…。 その差が大きく出ているのが充電後の照射時間とそのための”フリフリ”動作。 公称でもNightStar=30秒充電で20分照射、類似品=30秒充電で5分。この差が充電効率からなのか キャパシタの容量差から来るものなのかわかりませんがなんとなく納得です。そして NightStarは内部磁石が常に浮いているような状態になっており、振った時も端にぶつからないため、 充電動作も割とスムーズな振り心地でいけます。対して類似品の方は磁石が宙に浮いて折らず、振る度に両端に ドカドカ当たってけっこう振動が来ます。振ってて疲れてくる感じでした。

類似品の明るさは新NightStarとでは比較になりませんが、旧NightStarとほぼ同じくらいの明るさでした。 充電直後の明るさだけならそれほど差がありません。で、本来ならここに比較写真があるはずなんですが、 類似品の方が2回使った程度で壊れてしまったので撮影できませんでした^^;  何分振ってもぴかりともせず、完全にどこかがダメになったようです。類似品の方は内部の配線もぐちゃぐちゃしてて、 充電作業で必ず衝撃がライトに加わるのでその辺りが悪さをしたのかもしれません。類似品の方は造りが悪すぎます…。

新NightStarはだいぶ使えるライトになってきましたが、「保険」の域をまだ脱却していません。 まともに使用できるようにするには大きくならざるを得ないボディサイズもあり、日常生活上では電池式のものに取って代わる存在にはまだ少々遠いです。 しかし、この手の「保険」的ライトの中ではトップクラスの実力を持っており、この手のライトで一番重要な「信頼性」では最高の評価なんじゃないでしょうか。 アメリカ国防総省、海上自衛隊に採用されているというのも頷けます。ところで最近、京都大と科学技術振興機構の研究チームによりLEDへナノメートルの 微少な穴を空けると明るさを4〜5倍化できることが発見されたり、従来の二次電池並の容量を備えながら非常に短時間で充電でき、理論的には半永久的な 寿命を持つナノゲートキャパシタなんて技術も出てきてたりと面白いことになってます。 こういった技術を使えばこの手の「保険」ライトが実用ライトの領域に入ってくる可能性もあります。今後の進化にも期待です。

(05-06-06追記)



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