※レビューに使用したMAXTEL JFシリーズは全てマックステル・ジャパンさんよりお借りしたサンプル品です。 ありがとうございました。製品仕様については 該当ページ で見ることができます。 海外にはCPFメンバーのKenshiro氏が運営する「スーパーライト」だけを集めた凄まじいホームページがあります。 シュアのM6でさえも子供のように思えてしまう35W-HIDの威力を知ったのもそこでした。 その中で紹介されていた「X990」というライトがスポット・ワイドともにかなり明るめに感じて目を引き、 海外での実売価格も35W-HIDを使用したものとしては破格の価格付けがされていたので自分の中では「いつかはX990」という頭でいました。 この海外で販売されていたX990というライトは台湾にある Jenn Feng社 で製造されMcCULLOCHブランドで販売されていたものです。現在はブランド名がMAXTELに変わり、「X9xx」シリーズは「JF9xx」 シリーズとして日本で展開されることになりました。JFシリーズはこれから日本のいろいろなショップで販売されることになると思いますが、 まずは東急ハンズで取り扱われるようです。 JF990 ついにその威力をこの目にすることが出来ました!・・・と楽しんでいじらせていただきました。 最初から書いておきますが、このライトはもはやハンディライトではなく小型投光器です。いろいろ遠距離に強そうなライトを ぶつけて比較してみましたが、あまりのウェイト差にどれも惨敗でした。100万カンデラライトなら一矢を報いることができると思ったんですが 全然足りてないし・・・。そもそも自分のクルマのヘッドライトよりも明るいとはどういうことなんでしょ^^; このサイトを始めて照射比較を撮るようになってから、ここに35W-HIDが来たらどうなるんだろ?という疑問をいつも抱いていましたが、 実際撮影してみるとあまりの凄さに驚くというよりただ笑うしかありませんでした。 35W-HIDは明るさも異常とも言えるほど明るいのですが、自動車で採用されているだけあって一番開発が進んでいるせいでしょうか、 照射が安定するまでの時間が10W-HIDに比べて非常に短く感じられ、スイッチを入れた瞬間から既にかなり明るいです。 また、10W-HIDに比べて寿命が長いのも良い点です(メーカー資料ではJF990が2500時間に対してJF995は1000時間)。 やはり自動車関連に採用されたものが一番開発が進むんでしょうね・・・。 なお光の色は青白くなく昼白色でHIDっぽくない気もしますが、実用上は状況を選ばずオールマイティに非常に明るく感じさせる色です。 HIDと言えば青白いものという認識ですが、個人的にはこっちの色の方が断然明るく感じます。 他に機能面では、黄色いヘッドベゼルを回すことによりフォーカス調節ができるのですが、このフォーカス調節機能がなかなか秀逸でして、 スポット時には超明るい範囲が狭めでその周りに広大で強力な周辺光というパターンになり、スポットなのに周囲までかなり明るく照らしながら 太いビームが出るような感じです。そしてワイド時でも最も照度の高い中心の一点はそのままに中心の超明るい部分が広がるため、 ワイド側でもダークスポットが出現せずに細いビームが出るような感じになります。 よく他のライトではスポットにすると周辺光が一切無い超スポットになったり、ワイドならば巨大なダークスポットが出現したりする ものなのですが、それだと遠くを見たい場合にはスポット、付近を明るく照らすためにはワイドへと状況に応じて調節する必要性が出てきます。 もちろんそれが悪いというわけではないのですが、どちらに調節してもスポットとワイドの良い面を持ち合わせるというものであれば 手間が省ける分使い勝手はいいなあ、と単純に思うのです。もっともこれは調節の幅が狭いだけと言うことなのかもしれませんが、 個人的には前方を明るく照らすという点においては「使える」範囲だけのセッティングにしているわけで返って好ましいと感じます。 以上のような明るさは12V-4500mAhの充電式NiMHによって支えられています。 これだけの明るさが一体どのくらい持つのか気になったのですが、さすがに放熱が不安なのでランタイムテストができません。 ならば少しでも傾向を探ってみようと変則テスト(「断続」照射テスト)を行ってみたのですが、失敗に終わりました。 あの明るさをわずか45cmの至近距離から照度計に喰らわせ続けるわけで、断続照射開始25分後に照度計が右の写真のようになり 相当焦りました^^; 真正面から計測してしまうと測定限界を超えてしまうので、見てのとおり中心点をあえて外して計測していましたが、 中止までの結果では照射が完全に安定する約2分後(数秒で見た目はほぼ安定しますが、照度計の値は微妙に上昇を続けます)を100%とした場合、 10分後は96.2%、そこで10分間消灯して休ませ、再度点灯して2分後のものが99.8%、10分後に93.9%でした。あの明るさを実現している割には なかなか良さそうなランタイム曲線になりそうです。NiMHの充電式なのでバッテリー管理(長期間放置する時はバッテリーを空に近い状態で 放置しないこと)が少々面倒になるかもしれませんが、一次電池では短時間で明るさが急降下してしまいそうなので仕方のないところでしょうね。 しかし充電器の使い勝手はなかなか良く、充電完了ランプがあるのは◎、良く使う人にとってはコストも安く上がりそうです。 さて、冒頭に「小型投光器」と書いたのはその明るさのせいもありますが、付随して付いてくる大きさ・重量のためでもあります。 ボディはさすがに35W-HIDを使っているだけあって過度の放熱対策のためかクルマのヘッドライト並みのヘッドを持ち、総重量も2674g(実測)とかなりのものです (巨大なヘッド部分は黄色いベゼル以外は付け根の黒い部分を含めて全て金属製、ボディは樹脂です)。それでもあの明るさから考えればこの大きさに抑えられて いるのはかなり凄く、大きさ対明るさで言えば間違いなくトップクラスに入る値をたたき出すと思いますが、頻繁に持ち歩くには相当気合いが要りそうですね。 肩掛けベルトがあるので持ち運び時の重量感はごまかせるかもしれませんが^^; いちおう「首」の部分に滑り止めになる窪みと、 指がかかる突起があるので持つのに不自由は無いと思いますが、男性でないと片手で持つには辛い重量かもしれません。 総合的に見てみると、とにかく最強に明るいライトが欲しい方には文句なくお薦めできると思います。明るさは誇張無く「真昼のように」という表現が 使えるほど異常としか言えませんので^^; オプションで自動車のシガーソケットから充電するアダプタと、シガーソケットからそのまま電源を取る タイプの「台座」も用意されていますので、いろいろと応用はできそうです。ただ、大きさと重量からハンディライトという名目からは 外れ気味な気がしますので、明るいハンディライトを買うという頭でいると失敗するかもしれません。 使用目的、明るさと大きさ・重量を天秤にかけてよく考えてからの購入が良さそうです。 JF995 JF995は馴染みのライトの形をした10W-HIDライトです。自分はSilverさんのmodで10W-HIDがだいたいどんなものかは知っていたのですが、 10W-HIDを使用した市販品というものはまだあまり出回っていません。10W-HIDはバラストも小型になるため懐中電灯に組み込むには もってこいだと思うのですが、やっぱり電圧がネックになるんでしょうかね・・・。 10W-HIDの照射は見てのとおりかなり青白く、HIDらしい色合いですが状況によっては暗く感じることもあります。 HIDに憧れを持っていた自分には、明るさを伴った本物のHIDなのでウットリしてしまいますが^^; 他に35W-HIDと比較すると多少目をつむらなければならない点があります。35W-HIDではスイッチを点けた瞬間から圧倒的な光量が出るため 安定するまでの時間が非常に短く感じるのですが、10W-HIDではスイッチを点けた瞬間はほとんど光量が出ず、じわじわと明るくなってくる ような安定の仕方のため安定するまでの時間がけっこう長く感じられます。他にも寿命が1000時間と非常に長いものになっているとは言え、 35W-HIDの2500時間を見てしまうとなんとなく見劣りしてしまいますね^^; ただそれでもさすがはHIDでして、明るさは100万カンデラライトと十分タメを張り、JF990であんなことになったのでランタイムは測っていませんが、 メーカー資料によれば2.5時間この明るさが続くというわけで、「非常に明るいライト」的には実用上かなりバランスが取れたライトと なっています。長さはマグ4Dより少し長めと全長はありますが、充電池採用でも総重量は1554g(実測)と比較的抑えられており、 ハンディライトとしてはかなり大きめの部類に入るとは言え、明るさから考えれば十分納得できる範囲なのではないでしょうか。 また、JF995にもフォーカス調節機能があり、6度〜30度可変とかなり広範囲の調節が可能です。 ただ、スポット時には中心部分に光を集めたような好ましい位置でストップしますが、最ワイドにするとダークスポットが 出現してきます。JF990のフォーカス調節を見た後だと少し残念な気がしますが、他のライトではこれが普通なので仕方のないところでしょうね。 さて、JF995も充電池を採用しています。4.8V-7000mAhのNiMHが使われており、未確認ですがどこかで昇圧されているものと思われます。 充電方法はJF990とは異なりバッテリーキャップを外して中身を取り出してからの充電になりますが、これにもしっかり充電状態を確認する LEDインジケータが付いていることに感心しました。しかしこのNiMHの充電時間は容量が大きいせいか7〜9時間とかなり長めのため注意が必要で、 使用する前の晩から充電しておかないと実力が発揮できないかもしれません。おそらくほぼ最高照度付近を維持するタイプのランタイム曲線を描くと 思いますのでそれほど神経質にならなくてもいいとは思いますが念のため・・・。なおNiMHで怖いのは過放電ですが、使用時についうっかりそうなる ことが無いようにJF995のスイッチ部分にはLEDが仕込んであり、バッテリーレベルがLowになると赤く点滅します。こういう安全設計は非常に評価 できる部分です。 総合して考えてみると、明るいライトが欲しい、でもJF990ほどの明るさは要らないしあの大きさ・重さには我慢できない、という人向けです^^; 通常のライトの範囲で考えれば素晴らしい性能を持っていますし、明るさとサイズのバランスもなかなか良いと思います。 また、JF990よりも設計が新しいのかバッテリーに対する安全弁に加え、HIDならではの安全弁も盛り込まれています(下記)。 こういった不安要素に対する安全弁がしっかり付けられていることは信頼性の上でも非常に評価できる部分であり、長時間使用可能な非常に 明るいライトとしてはかなりお薦めできます。個人的にはこれでランタイムが短くてもいいからもっとサイズが小さいものだと完璧なのですが、 あまり多くは求められないところですね^^; 注意事項 最後にJF990、JF995の注意事項を書いておきます。 ・防爆型ではないので可燃性ガスのある可能性のあるところでは使用しないこと。 ・分解不可(ヘッドも開けられないので、バルブ切れはサービスセンターでの交換になると思われます) ・JF990−スイッチOFFから再点灯する時は、バルブの寿命を延ばすため必ず5秒空けること。 JF995−スイッチOFFから再点灯する時は、OFFから5秒間はスイッチを入れても点灯しません。 (JF995にはバルブ保護のために最初から安全弁が組み込まれているようです) ・点灯時、絶対に人の目に向けないこと。HIDの場合はかなりヤバそうです。 ・バッテリーレベルがLowになったら(JF990では照射が不安定になったら)すぐにスイッチを切ること。 (照射を続けるとHIDユニットはもちろんのこと、バッテリーも過放電の危険にさらされます) ・充電時、過充電は発生しないようです。充電しっぱなしも可能と思われます。 ・樹脂製のハードケースが付属していますが、ライト本体を衝撃から守るためだと思われます。 HIDは衝撃に対して脆い面がありますので落としたりぶつけたりに気を付けましょう。 (04-03-09) 書き忘れていたので追記します。 まずJF990、JF995のいただいたメーカー資料から仕様など。 JF990 JF995 商品名 HIDサーチライト HIDサーチライト バルブ HID HID 輝度 35W ハロゲン120-150W相当 10W ハロゲン30-40W相当 色温度 4300K 6000K 連続点灯時間 1時間10分 2時間30分 ランプ寿命 2500時間 1000時間 フォーカス 10°〜6°可変 6°〜30°可変 防水性 ヘッド部生活防水 防塵防水筐体 IP66級 電池 4500mAH 充電式 7000mAH NiMH 充電式 充電時間 3−5時間 7−9時間 寸法 129 x 304 x 208 mm Φ90 x 420 mm 重量 2.8kg 1.5kg 標準付属品 Ni-MHバッテリ、充電器、ストラップキャリングケース Ni-MHバッテリ、充電器キャリングケース また各ハードケースの内部を撮影していませんでしたが、内部には予備のバッテリー(1つ分)、ACアダプタ、説明書を 収めるスペースがあります。専用のキャリングケースならではの配慮が伺えます。 (04-03-10追記) マックステル・ジャパンさんより情報をいただいたので追記しておきます。 JF995に肩掛け用のストラップを装備したJF995Dが8/20より発売されるそうです。 性能等はJF995と全く同じですが、頭でっかちのあのスタイルだと重量バランス的に長時間の手持ちはキツそうなので、肩掛けはなかなか使い勝手の面で優れそうですね。 このJF995Dは消防庁にて採用が決定し、2004年11月に主要な部署に配備される予定だそうです。 (04-08-20追記)