CPF等で活躍するArcMania氏のmodです。 1W-Luxeonでは現在最高ランクを誇る「S」ランクのLuxeonを使用(bin#S4L)し、さらに550mAを流すことにより 1W-Luxeonを使ったライトの現状ではある意味限界作品ではないかと思います。残念ながらSランクLuxeonのあまりのレア度のため 広く一般に販売される予定は無いとのことですが、このmodからいろいろなことを知ることができます。 ■ライト本体■ ベースとなっているのはLEGEND 2AAで、自分の持っている他のライトではLambda氏のIlluminatorと同じベースです。 大きさ的には独特なテールスイッチのために若干他の2AAライトよりも長めになっていますが、持ち運びや取り回しに それほど影響を与えるほどの物ではないので、この点に関しては個人的に問題無いと思っています。 また、テールスイッチには誤点灯防止のロック機能が無くなっており(恐らくあるものもあると思いますが)、 気になっていたLEGENDのテールスイッチから来る接触不良の問題はこのmodでは皆無でした。やはり肝心な時に 不安定なライトは使うのを躊躇してしまいますので、これは嬉しいです。 ■明るさ・配光パターン・色合い■ さて、このライトは1Wのハイドームをリフレクタ集光しています。 1Wハイドーム+リフレクタの組み合わせでは、超スポットの 周りに巨大な薄明かりが広がるというビームパターンを持つようで、焦点をしっかり合わせたセッティングをした場合、 近距離を大きく照らし、中〜長距離は一本の光の筋が走るような照らし方をします。 室内で使った感じではとにかく明るい!非常に広範囲を照らし出すことが大きく作用しています。 このmodを点灯させた後にArc-LSを点灯してみるとかなり暗く感じるほどです。以前、自分も同じ組み合わせの ハイドーム+リフレクタというものを作ったことがあるのですが、その時に使ったLuxeonはQランクだからか、 明るさが全くの別物に感じます。特に目に見えて違うのは広範囲に広がる薄明かりの部分です。このハイドーム+リフレクタ という組み合わせは他にSpaceNeedleIIやMEGACLOPS HDなどの5W-Luxeonを使ったライトも採用していますが、 この広大に広がる明るさの部分はLuxeonの光量を直に反映し、光量があるかどうかをよく知らしめます。 このmodの大きく広がる薄明かりは、その範囲の中でXB-60を照らしても呑み込んでしまうほどの明るさを 持っており、その点から見てもSランクの実力がうかがい知ることができましょう。そしてそれにプラスして強力な スポット光と、遠近両用の非常に使い勝手のいいものになっています。 また、色合いは色調4ということで真っ白です。演色性にかなり有利で、対象物の色合いをはっきり認識できる 色合いですし、光の色として見た目も好ましいです。 色合いや配光は好ましいのですが、今回の照射テストではそれが逆にアダとなったかもしれません^^; 今回の照射テストでは主に屋外を中心にシチュエーションを増やしてみました。ですがこの屋外、特に黒っぽい 色の地面だとか濡れているような場所では、この真っ白い光というのは黄色っぽい光に負けるような感じになるようです (SpaceNeedleIIとMEGACLOPS HDを比べればわかると思います)。ちなみに登山道では道に水たまりができ、ぐちゃぐちゃの 状態でした。 また、配光パターンの違いで写真から受ける印象が違うと思います。写真を見る際には一番目に入りやすい 中距離地点よりも遠距離地点と手前側に注目してください。ハイドーム+リフレクタの配光としてその辺りに光が集中します ので…(余談ですが、登山道の写真でLEGEND 2AA・Task-Light・Arc-LS1の3枚を交互に見ると、HD+リフレクタ、LD+ リフレクタ、LD+コリメータの照射の性格の違いがよくわかると思います) 屋外で使うには色合い的にやや不利な面があるのですが、この配光はかなり使い勝手の良さに繋がっており、 室内では広大に明るく照らし出し、屋外で使ってもかなり遠くまで光が届き、なおかつ足下も広範囲に照らすため不安がありません。 Arc-LSやTask-Lightでは足下やちょっと先までは割と広範囲に明るく照らすのですが、どうしてもその先はぼんやりとしか わからず、真っ暗な山道のような先に何があるのか分からないシチュエーションではかなり不安に駆られます。 だからと言って遠くしか照らせない30mmコリメータを使ったライトでは、遠くが見えても足下は真っ暗ですのでこれもまた 不安に駆られます。その点、ハイドーム+リフレクタの配光は室内でもアウトドアでもオールマイティに使え、 個人的にはかなりお気に入りの配光です。この良さは写真ではうまく伝わらないかもしれませんが^^; ■バッテリー■ このライトはバッテリーとして2AAを使います。しかしこのライトは550mA駆動です。明るさはわかりましたが、これが どこまで続くのか、ArcMania製DCコンの実力を見るのも兼ねてランタイムテストをしてみました。 結果、NiMHでこの出力を2時間超。立派なものです。初期光量もなるべく持続されており、普段使いにはとても 使いやすいグラフになりました。アルカリ電池でも1時間20分と健闘したと思います。NiMHよりもアルカリの方が 明るくなるのですが、NiMHの明るさを下回った時点でちょうど電池の交換時期。アルカリ電池でもなかなか使い勝手 は良さそうです。 ■最後に■ 5W-Luxeonは確かに明るいのですが、その発熱の凄さから常用のライトにするには少し厳しく、また燃費も悪く、 そして1000時間とも言われる寿命がつきまといます。常用ライトとするにはアンダードライブするしかありません。 それに比べれば1Wを常用ライトに使う優位性ははるかにあるのですが、いかんせん遠距離を照らすためには明るさが 不足気味で、オールマイティに使うには少々心許ないものでした。しかしこのSランク品はスペック的には5Wの最低ランクに迫り、 料理の仕方によっては十分な光量を得ることができます。1W-Luxeonの将来が少し開けた気がします。 Sランクは明るさ的にE2に匹敵するルーメン値を持つので、打倒E2なんて密かに思ってましたが、さすがに遠距離での 明るさ感ではE2に負けてしまう面がありました。いい線は行ってると思うんですけどね。 しかし、ついに1WでもE2にあと一歩という明るさをひねり出したというのを見るだけでもこのmodの価値は大きいと思います。 何と言ってもこれは単3電池2本で駆動するわけですから。明るさ・経済性・実用性、全てにおいてオールマイティに 使える非常に満足度の高いライトでした。一般的な販売は無いとのことでしたが、いつの日かSランク品の入手性が良くなり、 このライトが一般的に市場へ出回る事を願ってます。 (03-07-02) 追記・・・というか訂正です。 今回の照射テストを受けてArcMania氏が綿密に測定し直した結果、550mA流しているつもりがどこかでロスが起きていたらしく、 実際に流れていたのは505mAだったことが判明しました。550mAではE2eを超えていたそうで、どこかおかしいな? ということだったらしいです。 なお600mA流すこともでき、その際の明るさはスコーピオンすら超えてしまうそうで、 Sランク1Wが普通に市場へ出回るようになれば、ハンディサイズのライトではもしかすると本当にフィラメントを 席巻してしまう可能性が出てきました。 ArcMania氏は近いうちにSランク品を効率的に駆動させるDCコンの研究に入るそうで、これは近い将来面白いことに なるかもしれません。 (03-07-03追記)